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はじまりは林さんとの出会いから
『リトルクリスマス–小さな版画展–』代表・林孝彦さんとの出会いは、10年前に開催した個展でした。「クリスマスに版画を贈ろう」を合言葉に、期間限定で作家を集めて版画の魅力を伝えるグループ展をはじめようと思っているから参加しないかと誘いを受けたんです。僕はこの企画に第一回から加わり、昨年開催された第十回をもって企画を終えることになりました。
版画の魅力を再認識させられた10年
10年間、毎年60枚以上は版を摺っていました。作品を複数枚摺ることをエディションと言うのですが、実はエディション摺りをしている人は美大の学生でもあまりいないんです。版画は複数性という特性があるからいろんな人に渡すことができて、見てもらえる。江戸時代では当たり前だったその魅力や可能性を、改めて教えてくれたのが『リトルクリスマス–小さな版画展–』でした。エディション摺りを使ってグループ展を同時多発的にする場は、全国的に見ても珍しかったと思います。
プロジェクト「Seed Stories」を始動
同時期に、企画・運営の連絡はもちろん、作家や画廊がフラットに話せるプラットホームとして、Facebook上で情報交換できる場「seed project」を立ち上げました。リトルクリスマスが10年目を迎えて林さんから「終わりにします」と話が出たときに、一番残念がってくださったのは展示会場として協力してくださっていた画廊さんとお客さんでした。本当に嬉しかったですね。僕自身としてもこの活動や作家同士のつながりを絶やすことはあまりにもったないと思っていたので、リトルクリスマスに続く新たな企画として「Seed Stories」という版画とドローイングのグループ展を他の作家と共に考えました。
若手アーティストたちが踏み出す、大胆な一歩
声をかけて集まってくれた作家は20人。20~30代の若手作家を中心に、今まさに制作を進めています。「Seed Stories」の新たな試みは、版画作家以外のアーティストを巻き込むこと。普段は油絵を描いている人に版画をつくってもらうことで、動きがあって面白いものが生まれることを期待しています。版画作家たちは、ドローイングをすることで別の視点が生まれて世界が広がる。大胆な一歩で、不安もありますが期待も大きくみんなの作品を見るのが楽しみです。
「今」という価値の創造
将来的には、一点物のドローイングを楽しみにしてくれるお客さんも増えてくれるといいなと思っています。ドローイングは、作家の発想がダイレクトに描かれていて音楽でいうとジャズのように、思いつきやその場限りのものとして生み出されるものが多く詰まっています。逆算しながらつくっていく版画にはない「今」の勢いや魅力がある。それを求めるお客さんもいると思うし、きっと生まれてくると願っています。
新たな「種まき」のとき
これまではリトルクリスマスを通して、版画の魅力を伝える種まきをしてきました。おかげさまで版画を愛する方々の手に作品を届けることができ、10年間の販売総数は12,964点、販売総額9,891万円という結果になりました。始まりは小さなコミュニティだったのが、ここまで大きく育ちました。年末になるとA4版画を待ってくれている人までいらっしゃいます。これは、リトルクリスマスが生んだ成果です。
絵を買ったことがない人でも「1万円以下の手頃な価格なら買ってみよう」と版画の裾野が広がりましたし、普段からアート好きなコレクターの方は10点、20点をまとめて買ってくださることもありました。新しい価値、可能性を生み出す。「Seed Stories」もそうありたいと願っています。
Seed Stories 2020 作品のご紹介
本日より、先行受注予約を開始します
発送は、10月10日以降となります。
全国画廊にも展示予定です。詳細は下記のリンク先よりご確認ください。
参加作家
赤池ももこ、安齋歩美、生熊奈央、今村由男、大川心平、岡沢幸、齋藤悠紀、瀧千尋、田村洋子、張諒太、中村由起子、ナンシー諸善、西平幸太、長谷川美菜、林孝彦、平瀬恵子、筆塚稔尚、箕輪千絵子、毛利元郎、Ryoko Mary Kojima
全国画廊にも展示予定
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