ワイナリー探訪記 Episode4

フランスのワイナリーをひたすら巡る4日間。一晩明けて酔いも覚めた2日目は、まだ日の登っていない早朝から行動を開始しました。

ワインの旋律

白ワインの銘醸地ピュリニー・モンラッシェ。この村の名門ドメーヌ「ドメーヌ・ル・フレーヴ」では畑のすぐ下を地下水が流れていて、ミネラル感が突出した味わいの白ワインが楽しめました。印象的に覚えているのは、木で造られたたまご型のセラーです。ビオディナミ農法の考え方から地球のエネルギーを吸い上げセラー内にエネルギーを循環させるかたちを採用されているらしく、見たことがない神秘的な空間が広がっていました。

モンラッシェには他に6つのドメーヌがあって、それぞれを飲み比べると畑によって全く違うワインに出会うことができました。オーケストラの演奏する場所や人、楽器、指揮者が違うと聞こえてくる音や感動が違ってくるように、土地の力、気候、人、思想が違えばワインの香りや味わいが違ってくる。ただ甘くてもダメだし、ミネラル感が強すぎてもダメ。白ワインで言えば程よい酸味や果実味、ミネラル感など全てのバランスがすごく大切なんだということを改めて感じることができました。

ドラマのワンシーンに出てきそうなグラン・クリュ

魅惑的なドメーヌの次に向かったのは、ブルゴーニュ地方のヴージョ村に位置する特級畑「クロ・ド・ヴージョ」でした。ここは古城を囲んで50haとコート・ド・ニュイのグラン・クリュのなかで最も面積が大きく、村の畑の大半をグラン・クリュ(特級畑)が占めています。城まで続く道を挟んで全てワイン畑という光景はまるで映画の世界。秋になるとここに黄金の畑が広がって古城で素敵なパーティもあるんです。今年は行けないけど、来年こそは……!

「メオさま」での一杯

昼食を簡単に済ませて向かったのは、ブルゴーニュの名だたる銘醸畑を所有するドメーヌ「メオ・カミュゼ」。ここは、ワイン好きで知らない人はいない「ブルゴーニュの神様」と呼ばれた人物、アンリ・ジャイエがいたドメーヌとしても有名な場所で、私は尊敬の念を込めて「メオさま」と呼んでいました(笑)。普段はなかなか見学もできないドメーヌですが一緒に行った友人のおかげで特別に見せていただいて、沢山のテイスティングをさせてもらうことができたんですよね。本当に幸運に恵まれました。あの21世紀最高の醸造家がここにいたんだなぁと、感慨深く思いながら、貴重なワインを一つ一つを記憶に刻もうと一生懸命に楽しみました。

ドメーヌの中に息づく歴史と思い

2日目の最後は、「ドメーヌ・ブシャール・ペール・エフィス」を訪れました。ここは130haという広大な敷地に畑を持っていて、セラーには博物館のようにナンバリングされたブルゴーニュワインが数多く眠っていました。戦時中にドイツ兵の基地にされたり、一時は経済的に困窮してしまったり。幾度となく危機的状況に面してきた歴史を持ちながらも、技術や味を向上させ立て直しているという話が印象的でワインからもその重みを感じました。
どこのドメーヌにも共通していたのは、「ベストなものをつくり続ける」というプライドです。日々変化する嗜好を追い求める歴史と姿勢に感動し、ブルゴーニュがさらに大好きになった1日でした。

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