愛しのJAPON〜フランス人が感じる日本の魅力〜

こんにちは。フランスのリヨン出身のジュリアンです。
フランス人には親日家が多いイメージがあります。日本のことを好きになるきっかけはそれぞれあると思いますが、私の場合は日本映画でした。今日は私の好きなおすすめしたい日本の魅力をお話します。

黒澤映画に導かれて

私が海外に興味を持つようになったのは13、14歳の頃です。当時、映画の博物館での上映会に足しげく通い、特に海外の古い映画をよく見ていました。その時に出会ってしまったのが黒澤明監督の作品です。フランス語の字幕で黒澤映画を見ていたのですが、次第に日本に行ってみたい気持ちに変わり、日本語を勉強するようになりました。黒澤明監督の作品に表れている日本人の考え方や人柄、心意気に惹かれ、日本に住みたいとまで思うようになってしまいました。

日本人の謙虚な人柄は言語に宿る

黒澤映画からも感じていたのですが、日本人は謙虚な人が多いですね。会話の中でそう感じました。たとえば、先に自分の言いたいことを伝えるのではなく、相手の意見を聞いてから、自分のことはそれから。そんな場面で日本人の謙虚さに気が付きました。

どうしてそんなふうに感じたのか考えてみたのですが、日本人の謙虚な姿勢は、日本語に表れているのだと思います。自己紹介やメールのやりとり、記事などを読んでいて、へりくだった言語自体が、相手を立てる精神として表れています。フランス語のビジネス文章にはそんな表現はありません。そこが日本人とフランス人の違いですね。

私にとってのパワースポットは神社

そんな奥ゆかしいサムライ魂にすっかり惚れ込んでしまった私ですが、人柄だけでなく、日本には素晴らしい場所もたくさんあります。これまでに京都や広島、鎌倉、栃木、岩手と、たくさん土地を訪れました。

中でも神社めぐりが大好きで、全国をめぐっています。京都の伏見稲荷神社や三重県の伊勢神宮、島根県の出雲大社が大好きです。訪れるたびにエネルギーの強さと、居心地の良さを感じます。フランス人の私でもそんなふうに思うのですから、不思議ですね。昔からある建築物でいうと、フランスだと教会と同じような存在だと思います。

以前、友人と日本で旅行をしたときに、栃木県の那須高原で、とある小さな神社に立ち寄ったことがあります。その時、神主さんから歴史やご利益、神社自体の意味や理念などを教えていただいたことがあって、神社の見え方が変わりました。心を研ぎ澄まされるような、静けさの中で自分と向き合う時間が神社には流れている気がします。私のように神社に興味を示す外国の方はたくさんいるはずです。神社の魅力が伝わるように、もっとわかりやすく情報発信してもらえたら、よりディープな日本を知ってもらえるのに…。

窯元にまで行ってしまう焼き物の魅力

日本ならではのおすすめしたいものといえば、もう一つあります。それは「焼き物」です。フランスも、バカラなどが有名なことでご存じだと思いますが、グラスの文化が根付いていることも影響しているのかもしれません。

日本の焼き物でお気に入りは伊万里焼です。ヨーロッパにも江戸時代に柿右衛門などの作品が輸出されていて、当時もその繊細さや個性が評されていた芸術品でした。私が伊万里焼を好きなのは、漆の描き方をはじめとする職人の強いこだわりと個性的なところですね。職人さんの中には90代の方が現役で活躍されています。その技術を子孫に受け継いでいるからこそ今も素晴らしい作品が継承されているのだと思います。伊万里焼のほかには有田焼も好きで、どちらも窯元まで出向き、工程や土の質感など、実際に見た時は感動しました。

そんなふうに好きなものに対して、ゆかりの地にわざわざ訪れて、“本物”をこの目で確かめたい衝動にかられます。

私が神社と焼き物に興味を持つのは、人の手で守られてきた歴史や、地元の人たちの思いなど、バックボーンとなるストーリーにより、その場所やモノの価値が高まり、同じように惹かれる理由につながっているのだと思います。伝統文化を尊重する日本とフランスとで共通する部分でもありますが、感動や興味は国境を越えて心に打つものがあるのだと信じています。

日本では、ふれてみたいことや経験してみたいことがまだまだ山積みで、追いついていません。しばらくは日本のことをもっと深く知っていきたいと思っています。

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