【編集部取材】茶道具の名陶、高取焼味楽窯で作陶体験!

400年以上、代々一人に継承される技術

開窯以来400年の歴史を紡ぐ高取焼味楽窯。
江戸時代には黒田藩の御用窯として栄え、現代まで変わらぬ技術を一子相伝で継承されています。

味楽窯では今も御用窯時代の陶土を保有されており、実際に作陶に用いられているというのですから驚くしかありません。この唯一無二の陶土が、現代でも変わらない「綺麗さび」という、質素でありながら「わび・さび」を感じさせる美しさと、薄造りを特徴とした伝統の茶陶制作に繋がっているのです。

当店でも旅人TOGGYさんとのコラボ酒器を販売しておりますが、今回は十五代亀井味楽先生のご指導のもと、編集部メンバーが作陶体験をさせていただきました。

焼き物の基礎知識

普段何気なくお皿や湯呑みやマグカップと色々な焼き物を使っていますが、実際に自分の手で作るのは初めてです。

作陶の作業に入る前に、十五代味楽先生から焼き物についてお話を聞きました。

まず、焼き物の原料である土について、粘土だけでも120種類ぐらいの種類があるそうです。色合いや手触りを決定づける釉薬も、藁灰や木灰、鉄粉、そしてそれらの組み合わせと、100以上の種類があります。

その土地で取れる陶土に合わせて、例えば佐賀の有田焼や滋賀の信楽焼など、風土色豊かな焼き物文化が栄えてきましたが、最近では個人レベルでも好きな陶土を取り寄せて作陶ができるとのことで、趣味としても手軽にこだわった作陶ができるそうです。

いざ、土を触ってみる~底板の作成まで~

今回は、地元福岡の七隈で取れる陶土で、小鉢の作陶体験となります。

初めは用意していただいた一人600gほどの粘土玉を2/3ほどちぎって、丸めていきます。

粘土玉は少し冷たく、しっとりとしており手に気持ちがいいです。

実際の作業工程を目の前で実演される味楽先生。

両手の平でキャッチボールをするように軽快な手捌きで綺麗な球に丸めていかれます。

が、やってみるとこれがなかなか難しい……。

楕円っぽくなったり、力が入って歪んだりしつつも見様見真似で丸めていきます。

しっかりと丸まったところで、今度はその球状の粘土をガーゼを引いた作業台に置き、上から叩くようにして広げていきます。これが小鉢の底皿になる部分。均一な厚さを目指して、ひたすら叩き延ばします。バンバンバンとメンバーの数だけ響き渡る音に包まれ、次第に無心になっていきます。

手の腹を使って内から外へ向かって叩き広げていき、厚さにムラがでないように……、どこまでもこだわれてしまうので、集中してつい時間を忘れてしまいそうです。

納得のいく均一さで叩き広げたら、自分の作りたい形に底板をカットします。あえて型紙を使わず、各々好きな形に切り出していくメンバーたち。円や三角、雲形など個性がはっきりと出ていました(笑)

カットを終えたところで、竹ひごを使い点描のようにサインを刻みます。

なぞるようにサインを書いてしまうと、削りカスで盛り上がった部分がバリになってしまうということで、貫通しないように慎重に点を押し繋げていきました。

ひも状にした粘土で作る側壁!

サインの後は、底板をひっくり返して側板を取り付ける工程へ進みます。

即板は、初めに使わなかった1/3の粘土玉をちぎって、一度丸め直したものを作業台の上で転がして、ひも状のパーツを作っていきます。

底板の上に作ったひもを載せて、接地面を指で念入りに馴染ませて一体化させます。

ここでの接着が上手くできていないと、焼き上げる際に底板と即板が別々に縮んでしまい、割れる原因になるとのことで、一同必死です。

底板の外周をぐるりと一周囲んだ後は、さらにもう一段、今繋げた側板の上に再びひもを合体させていきます。

安定していた底板と違い、繋げたばかりの側板はふにゃふにゃと柔らかく、薄く垂直に立つ美しい側板として一体化させるのは繊細な作業です。

くっつけるためにかけた圧力で潰れ過ぎたり、曲がってしまったりと悪戦苦闘しながら、(これもまた手作りの味だな……)と自分を納得させられるところまで何度も修正を重ねました(笑)

最終的に側壁は1cmから7mmほどの厚さにするため、木の板を当てながら「切り弓」という道具を使って一定の高さで側壁を切り落とし、断面の厚みを見ながら微調整を繰り返します。

薄く伸ばしたつもりでも、切ってみると断面は想像以上に分厚かったりして、薄作りの難しさの片鱗を味わいました。

味楽先生がろくろで作られるものは、薄さ1.5mm!初めての作陶体験で比べるのもおこがましいですが、想像を絶する世界です。

いよいよ、完成のとき

側壁を仕上げたところで、本日の体験は終了。

といっても、器の形になってはいますが、まだ粘土の状態です。

ここから先は、味楽先生の元で乾燥~素焼き~釉薬がけ~本焼きといった工程を進めていただき、やっと器として完成になるのです。

そんな本焼きまで終えて編集部へ届けていただいた器がこちら!

釉薬で美しく仕上げていただきました!

本当に自分で形を作ったんだっけと思う出来栄えに、体験後の工程にも興味が湧いてきます。

そして、誰の器も割れることなく無事に焼き上がったことにホッとしました(笑)

次回は最後まで挑戦してみたいですね!

今回体験をしてみて、一つの器を作るのにもどれだけの手間暇、そして技術が使われているのか、作り手の魂を五感を通して学ぶことができました。

私たちは完成したモノを紹介して販売させていただいていますが、どうやって作られているのか、そのルーツや込められた思いまで一緒にお届けしたいと思っています。

興味を持った方はぜひ、味楽窯HPもご覧ください!

高取焼 味楽窯

https://takatoriyaki.jp/

出来上がったお皿は大事に使っていますよ♪

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