オペラを通して見える新鮮な日本の姿

こんにちは。オペラ歌手のFumikoです。
今回は、「日本にまつわるオペラ」についてお話します。そもそも、日本が舞台となっているオペラの数は少ないのですが、長崎が舞台になっている『蝶々夫人』は今でも世界中で上演されていて、知っている方も多いと思います。 『蝶々夫人』は、前回のパリ編で紹介した『ラ・ボエーム』の作曲者であるプッチーニが手掛けたオペラです。私は長崎に住んでいたこともあるので、個人的にも好きなオペラのひとつです。

『蝶々夫人』とその舞台、長崎の街

『蝶々夫人』は、長崎に住んでいる令嬢とアメリカ海兵の恋愛物語です。結末は少し悲しいお話なのですが、日本的な音楽が随所に散りばめられていて、オペラを見たことがない人でも、日本人であればとても馴染みやすいと思います。

蝶々夫人がアメリカ海兵の帰りを待つシーンは、長崎の有名な観光地であるグラバー園から見える綺麗な景色とシンクロしていて、長崎を訪れたことがある人は一層楽しめるのではないかと思います。空港では『蝶々夫人』で使われているメロディが流れるほど、街をあげて推しているので、長崎は行く際は是非空港にも立ち寄ってみてください。

色々な角度から国の文化と価値観を楽しむ

プッチーニは、『蝶々夫人』を作曲するにあたって、とても丹念に日本の文化や人々の暮らしを調べたそうです。劇中では『さくらさくら』などの私たちに馴染みのある音楽に加えて、主役である蝶々夫人の人柄などを通して、海外から見た日本観がとても良く表現されています。

長崎グラバー園にあるプッチーニの像

また、蝶々夫人の夫であるアメリカ海兵が登場するシーンでは、アメリカの国歌のメロディーが使われていて、作曲者のプッチーニはイタリア人なので、ひとつのオペラで様々な国の文化を垣間見ることができるのも魅力です。

音楽を知ることで、旅の楽しみ方が広がる

『蝶々夫人』に登場する、ある役柄を演じたことがあるので、以前に住んでいた頃とはまた違った感動があるのかと思うと、もう一度グラバー園に行って彼女が海を見下ろしながら夫の帰りを待つ気分を味わってみたいなと思います。 日本では他にも行きたい場所が沢山あって、NHKの朝ドラ『エール』のモデルとなった古関裕而さんの出身地である福島が今とても気になっています。音楽は、オペラのように舞台になった土地の他に、作詞家や作曲家ゆかりの地もあるので、行きたい場所がどんどん増えていくのが楽しいです。

世界に認められた日本初のオペラ歌手の三浦環の像
「蝶々夫人」の主役として2000回以上の舞台に立ちプッチーニも絶賛した。

想像の世界を満喫して、旅に行ける日を待ち望む

3回に渡って、オーストリア、フランス、そして日本の音楽と旅についてお伝えしてきましたが、いかがだったでしょうか。好きな舞台や音楽、人物を調べてみると、夢が膨らんで、旅が一層楽しくなると思います。今すぐ旅行に出ることは難しい状況ですが、まずは想像の世界を味わってみるのも楽しいと思います。調べれば調べるほど、知らなかったことや意外な繋がりが発見できて、実際に訪れたときの感動も大きいですよ

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