旅人Natsukiのワイナリー探訪記 Episode3.

皇太子も訪れた老舗ワイナリー

 1日目のラストは、コート・ドール地区、サントネ村の「ドメーヌ・フルーロ・ラローズ」へ。ここは、天皇陛下が皇太子だったころに公式訪問され、ブドウ畑やセラーを見学されたことでも有名なワイナリーです。ブドウ畑当主の奥さんは久美子さんという日本の女性で、すごく親切にワイナリーを案内してくださいました。

「ドメーヌ・フルーロ・ラローズ」では、畑を購入した1869年の翌年から40年間、ブルゴーニュワイン最高級の「ロマネ・コンティ」をつくっていた歴史があるそうです。当時は畑で採れたブドウを馬車に運んで、自宅シャトーで瓶詰め、保管をしていたと久美子さんから教えていだきました。

今も静かに、何年も前のワインがワイナリーの片隅に眠っています。ル・モンラッシェやサントネーなど、さまざま畑のブドウからワインを作っていらっしゃって、いろんな味わいのワインをテイスティングすることができました。

ロマンを感じたビンテージワイン

 ワインセラーにも、当時のまま時を止めた80年前のワインが眠っていました。湿度と温度管理の関係で瓶の周りにはラベルの文字が見えなくなるほどカビが生えていました。このカビがワインの状態を守っているそうです。当主の方も「もう何十年も触っていないよ」なんてことを話してくれて、そこだけ時間が止まっているような神秘的な光景でした。

私がブルゴーニュで見たもの

 畑や空気、香り、太陽の明るさ、景色が違うだけで、どこのブドウも日本で見るブドウとは全く違うものに見えました。「ああ、私は今、本当にブルゴーニュにいるんだ」って胸がいっぱいになって、その日は幸せな気持ちのまま眠りにつきました。

「シャトー」と「ドメーヌ」

 ワインにまつわるエピソードには、文化や歴史が大きく反映されていて、とても勉強になりました。たとえば、ボルドーでは「シャトー」、ブルゴーニュでは「ドメーヌ」と呼び方が異なりますが、どちらも畑を所有しており、栽培や瓶詰めに至るまでワインの製造を行う生産者のことを指しています。
「シャトー」はフランス語で「お城」を意味していて、貴族が住んでいたような邸宅をワインづくりの場所にして、広大な土地に大規模な設備で製造をしていたことからこの名で呼ばれています。
 一方、私が1日目に訪れたブルゴーニュでは、「ドメーヌ」と呼ばれていました。意味はフランス語で「所有地」。家族経営や小規模な生産者が多くて、生産本数も少ないことが特徴です。

 どちらのワインも本当に素晴らしく、そして実際に行くとやはり愛着が湧きます。今回紹介したドメーヌさんのワインも、ぜひみなさんに飲んでほしいものばかりです。おいしいワインを求める旅はまだまだ続きます。

ブルゴーニュワイン
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